国民年金前納のメリットとデメリット
国民年金には、前もって年金保険料を収める「前納」という制度が設けられています。
この国民年金の前納制度と、メリットとデメリットについて説明いたします。
国民年金保険料の前納とは?
国民年金保険料を納めるのは、第1号被保険者のみです。
なぜならば、第2号被保険者は厚生年金保険料として給料から天引きされますし、第3号被保険者は年金保険料の納付を免除されるからです。
その国民年金保険料の納付義務を負う第1号被保険者は、翌月末日までに保険料を納付しなければならず、例えば4月分であれば5月31日が納期限となります。
しかし、第1号被保険者は不安定な職業であることから、政府としてはできるだけ確実に保険料を徴収したいということで、「2年・1年・半年・当月末単位」で保険料を前もって納めることができる国民年金の前納制度を設けているのが現状です。
前納の種類
国民年金には、次の5つの期間について保険料を納付できます。
次の表は、2024年度(令和6年度)の口座振替した場合の金額で、上4つの「2年前納・1年前納・6ヶ月前納・当月末振替(早割)」が前納です。
2年前納(口座振替) | 397,290円 (16,950円割引) 5月1日振替 |
---|---|
2年前納(現金納付) | 398,590円 (15,290円割引) 5月1日振替 |
1年前納(口座振替) | 199,490円 (4,270円割引) 5月1日振替 |
1年前納(現金納付) | 200,140円 (3,620円割引) 5月1日振替 |
6ヶ月前納(口座振替) | 100,720円 (1,160円割引) 5月1日、10月31日振替 |
6ヶ月前納(現金納付) | 101,050円 (830円割引) 5月1日、10月31日振替 |
当月末振替(早割) | 16,920円 (60円割引) 毎月月末振替 |
翌月末振替 | 16,980円 (割引なし) 翌月末日振替 |
なお、振替日が休日の場合は翌営業日に振替されます。
前納のメリット
国民年金保険料を前納すると、次のメリットがあります。
上記の表を見ていただければ分かりますが、国民年金保険料を前納すると割引を受けられます。少ないながらも節約につながるはずです。そして、割引をしてでも国民年金保険料を徴収しようとする政府の思惑も感じ取れます。
納付書を使用して毎月納付していると、わざわざ金融機関やコンビニに行くのが面倒になったり、日々の忙しさで忘れてしまうこともあるでしょう。しかし、前納すれば納付し忘れがなくなります。
国民年金保険料は社会保険料控除の対象となり、収入から控除できるので、収入が多くなりそうな年に2年前納しておけば、節税につながります。
前納のデメリット
国民年金保険料を前納すると、次のデメリットがあります。
「就職して第2号被保険者となった場合」「第2号被保険者と結婚して配偶者となり、第3号被保険者に該当した場合」は、重複しないように、前納分の内経過していない期間の保険料が還付されます。『国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書』というハガキが送られてくるので、必要事項を記入して年金事務所に提出してください。
免除後の前納保険料還付
前納した後に、国民年金保険料の免除に該当する場合があります。
以前は、免除を認められても前納保険料は還付されませんでしたが、法改正されて、2014年4月からは、免除に該当した月分以後の分が還付されることになりました。
前納保険料の還付をご希望の方は、「手続きが面倒」「将来受け取る老齢基礎年金額が減る」というデメリットがあることを理解した上で、手続きしてください。
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