学生の年金免除の手続き・所得は?(学生納付特例)
大学は4年制ですし、一度社会人になってから大学や短大、専門学校に通う人もいるため、20歳以上の学生はたくさんいます。
そこで問題となるのが国民年金保険料です。
第1号被保険者は、20歳以上60歳未満の者を強制加入としているため、20歳以上の学生も被保険者として保険料を納付しなければなりません。
高額な学費や交通費に加え、国民年金保険料も負担しなければならず、さらに一人暮らしをしている学生は家賃や生活費も必要となるため、学生のみならずその家族の生活に大きな悪影響を及ぼします。
奨学金を返還できず、社会に出てから借金生活している人が多くいることが問題となり、やっと返済不要な給付型奨学金ができましたが、それを受けられるのはごく一部の学生だけで、やはり国民年金保険料の負担は辛いでしょう。
そこで、20歳以上の学生には、学生納付特例という特別な保険料免除制度が用意されているのです。
この学生納付特例の条件や注意事項、手続き、デメリットなどについて説明するので、ぜひ参考にしてください。
- 学生納付特例の条件
- 学生納付特例の注意事項
- 学生納付特例を追納しない場合のデメリット
- 学生納付特例と未納の違い
- 20歳以上の学生は法定免除可、申請免除不可
- 学生納付特例の手続き・必要書類・提出先
- 学生納付特例の所得基準
- 学生の国民年金保険料を親が払うと社会保険料控除を受けられる
学生納付特例の条件
次のいずれかの要件に該当する20歳以上の学生等は、申請することにより、国民年金保険料の免除を受けることができます。
- 前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき
- 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けるとき
- 地方税法に定める障害者、寡婦、寡夫または単身児童扶養者であって、前年の所得が135万円以下であるとき
- 保険料を納付することが著しく困難である場合として、天災その他厚生労働省令で定める事由(失業・事業所の倒産等)があるとき
学生納付特例の注意事項
国民年金保険料の学生納付特例を受ける前に、次の注意事項を理解しておきましょう。
- 大学生・大学院生・短大生・専門学校生・夜間学生・通信制の学生等、ほとんどの学生に適用されます
- 学生本人の所得のみによって判断します(親の所得は関係ありません)
- 学生等の場合、法定免除は適用されますが、申請免除は適用されません
- 受給資格期間には算入されますが、老齢基礎年金額の計算には全く反映されません
- 支給要件を満たせば、免除期間も障害基礎年金・遺族基礎年金の対象となります
- 10年以内のものに限り追納できます
- 毎年、申請が必要です
学生納付特例を追納しない場合のデメリット
学生納付特例は、本人の所得が一定額以下であれば受けられますが、大きなデメリットがあります。
学生納付特例は、受給資格期間には算入されますが、追納しない限り、老齢基礎年金額には全く加算されないのです。
結果、将来の老齢基礎年金額が減ってしまうので、社会人になって経済的に余裕ができてから追納するのがおすすめです。
ただし、その場合でも、免除を受けてから10年経つと追納できないので注意してください。
もし、10年経ってしまったら、60歳から任意加入被保険者になることで、満額の老齢基礎年金額に近づけさせることができます。
学生納付特例と未納の違い
学生納付特例と未納はどちらも老齢基礎年金額には反映されないので、免除手続きしてもしなくても同じと判断して無視している学生がいます。
実際の違いとしては、学生納付特例は受給資格期間に算入されますが、未納は全くカウントされないことと、後から納付できる期間くらいです。
受給資格期間が25年以上から10年以上に短縮となり、学生納付特例と未納の差はさらになくなりましたが、法律で納付か免除と決まっているので、保険料を納付できない場合は免除手続きをしましょう。
20歳以上の学生は法定免除可、申請免除不可
20歳以上の学生は、法定免除は受けられますが、申請免除は受けられません。
老齢基礎年金額に影響を及ぼさない学生納付特例に該当する時点で、年金額に影響を及ぼす申請免除を受けることを認めていないのです。
学生納付特例の手続き・必要書類・提出先
学生納付特例の手続きは、年金事務所や市区町村役場に備え付けてある『国民年金保険料学生納付特例申請書』に必要事項を記入(本人以外は印鑑が必要)し、『国民年金手帳』『学生等であることを証明する書類』『前年(前々年)の所得を証明する書類』『退職したことを証明する書類』等を添えて、市区町村役場に提出してください。
日本年金機構のサイトからプリントアウトして、郵送にて国民年金保険料の免除申請をすることも可能です。
また、在学する大学等が学生納付特例事務法人の指定を受けている場合は、学校を通じて手続きできます。
ご希望の方は、在学中の学校にお問い合わせください。
『国民年金保険料学生納付特例申請書』の書き方ですが、この書類名をネットで検索すると日本年金機構のPDFページが上位表示されるので、それが参考になると思います。
特に難しいことはなく、個人情報や基礎年金番号、大学の情報など一般的な事項を記入するだけなので、10分もあれば完了するでしょう。
学生納付特例の申請期間は、4月から翌年3月までなので、毎年申請しなければなりませんが、手続きし忘れている学生のために2年前までさかのぼって免除を受けられるようになっています。
ただし、学生納付特例でさかのぼって免除を受けられるのは、20歳以上の学生であった期間だけです。
学生納付特例の所得基準
学生納付特例で国民年金保険料の免除を受けるためには、学生本人の所得が、以下の額以下である必要があります。
118万円 + 扶養親族等の数 X 38万円 + 社会保険料控除額等
学生の国民年金保険料を親が払うと社会保険料控除を受けられる
20歳以上の学生の国民年金保険料は、本人が払うべきです。
しかし、学業優先が当たり前ですし、アルバイトしても生活費や交際費、携帯代などで、国民年金保険料を払う余裕がないという学生は多いでしょう。
その場合に、親が子供である学生の国民年金保険料を代わりに払うことも可能です。
メリットとしては、次の2つがあります。
国民年金保険料を追納するときに、3年前までは当時の保険料ですが、それよりも前の保険料については加算額が必要となります。親に払ってもらえば、その心配がなくなるので、子供にとってメリットです。
子供が一人暮らししていても同一生計であれば、親が払った学生の国民年金保険料も社会保険料控除の対象となります。
したがって、学生時代は親に肩代わりしてもらい、社会人になってから返すということもできますね。
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