在職老齢年金の支給停止の基準額51万円に!問題点は?
厚生労働省が、2019年11月13日の社会保障審議会年金部会で、在職老齢年金の支給停止の基準額を現行の47万円から51万円に引き上げる案を提出し、おおむね了承されました。
在職老齢年金の問題点について説明します。
- 在職老齢年金とは?
- 在職老齢年金の支給停止の基準額が51万円になる予定
- 在職老齢年金の問題点
- 在職老齢年金の減額基準を現状維持 追記(2019年11月26日)
在職老齢年金とは?
テレビ番組が年金をテーマに取り扱うことがあるため、「在職老齢年金」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際、どんな制度か完璧に理解している人は少ないでしょう。
そこで、在職老齢年金がどんなものか、わかりやすく説明するので、この機会にぜひ覚えてください。
会社員・公務員経験がある人は、老齢年金の「繰上げ受給」「繰下げ受給」を受けない限り、老齢給付裁定請求書を提出することによって、年齢によって60歳から老齢厚生年金が支給され、65歳から老齢基礎年金が支給されます。
この時、働いている人は、老齢基礎年金は全額受給できますが、老齢厚生年金についてはその収入によって一部または全額が支給停止となるのです。
この働いて稼いでいることを理由に支給停止される老齢厚生年金のことを「在職老齢年金」と言います。
国が、少しでも年金の支給を抑えるために、「それなりに稼いでいるので我慢してください」と言っている訳です。
在職老齢年金の支給停止の基準額が51万円になる予定
在職老齢年金は、働いている老齢厚生年金受給者のすべてに適用されるわけではありません。
基準額が定められており、年金と賃金の合計がこの基準額を超える場合に、その収入額によって、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
直近だけでも、基準額は46万円、47万円とアップしており、2020年は51万円になる予定です。
在職老齢年金の問題点
在職老齢年金は、年金の支給額を抑えるために導入された制度ですが、今はやめるにやめられない状態となっています。
国は、少子高齢化対策として、外国人労働者を受け入れると同時に、定年年齢を引き上げてお年寄りも労働者として使おうとしていますが、「働いても在職老齢年金で支給額がカットされる」との理由で、働くことを躊躇う高齢者も珍しくありません。
「それならば、在職老齢年金をやめれば良いでしょう」と考えるところですが、在職老齢年金をやめると一気に年金支給額が増え、若い世代の年金支給額の減額につながってしまうのです。
実際、2020年の基準額を62万円にする案を見直し、51万円にしています。
したがって、今後も、「高齢労働者確保のために在職老齢年金をやめたい、でも、年金財政への負担が大きいのでやめられない」という状態が続くでしょう。
在職老齢年金の減額基準を現状維持 追記(2019年11月26日)
在職老齢年金の減額基準を引き上げる流れで進んでいましたが、結局、現状維持の「47万円」となりました。
現状維持となった理由は、次のとおりです。
- 公明党が「51万円でも高い」と反対した
- 減額基準を引き上げても、高齢者の就労が促進されるかは不明
- 将来世代の年金支給額が減る可能性が高い
法改正を検討する前に、分かりきっていたことばかりですね。
ただ無駄な会議をしただけで終わっています。
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