老齢基礎年金の繰下げ受給の損得!計算方法は?
本来、65歳から支給を受けることができる老齢基礎年金ですが、66歳以上から支給を受けることにより、受給額を増やすことができます。
これが、老齢基礎年金の繰下げ受給制度です。
繰下げ受給の要件
老齢基礎年金の繰下げ支給は、次の要件を満たす者が、厚生労働大臣に申し出ることによって成立します。
- 66歳に達する前に老齢基礎年金の裁定請求をしていないこと
- 65歳に達したときに、他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者でないこと
- 65歳に達した日以後に他の年金給付若しくは被用者年金各法による年金たる給付の受給権者となっていないこと
老齢基礎年金の繰下げ請求をすると、66歳以降の申出した日の属する月の翌月から支給されます。
繰下げ受給のメリット
老齢基礎年金の繰下げ受給には、次のメリットがあります。
- 増額された老齢基礎年金額が一生支給される
- 付加年金も一生増額される
もらうのを後にずらした分、受給額が多くのなるのが、繰下げ受給の魅力です。
長く生きれば生きるほど、得します。
繰下げ受給のデメリット
老齢基礎年金の繰下げ受給には、次のデメリットがあります。
- 受給前に亡くなった場合、死亡一時金が支給されるだけで、老齢基礎年金は一切支給されない
- 繰り下げ受給後、早く亡くなった場合に損する
社会保険労務士やファイナンシャルプランナー、政治家が、テレビや本などで、「繰下げ受給すると得する」とメリットだけ説明して、繰下げ受給を勧めていますが、上記のデメリット説明していないなら問題です。
仮に、毎月の国民年金保険料を1万6000円とすると、40年(480月)で768万円納付することになります。
一方、死亡一時金は最高でも32万円です。
損得は、一目瞭然ですよね。
また、繰下げ受給後、すぐに亡くなった場合も損します。
確かに、老齢基礎年金の繰下げはお得ですが、ある程度長生きしないと損するデメリットがあることを理解しておきましょう。
繰下げ受給の増額率・計算方法
老齢基礎年金の繰下げ支給を受けた場合、次の増額率・計算方法が適用されます。
昭和16年4月2日以後に生まれた者
受給権を取得した日の属する月から当該年金の支給繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数に1,000分の7を乗じた額が増額されます。ただし、120月が最高で、70歳以降の増額率は変わりません。
66歳 | 8.4%(12月 X 7/1000) |
---|---|
67歳 | 16.8%(24月 X 7/1000) |
68歳 | 25.2%(36月 X 7/1000) |
69歳 | 33.6%(48月 X 7/1000) |
70歳 | 42%(60月 X 7/1000) |
6年 | 50.4%(72月 × 0.7) |
7年 | 58.8%(84月 × 0.7) |
8年 | 67.2%(96月 × 0.7) |
9年 | 75.6%(108月 × 0.7) |
10年 | 84%(120月 × 0.7) |
昭和16年4月1日以前に生まれた者
下記の増額率になっています。
66歳0ヶ月~66歳11ヶ月 | 12% |
---|---|
67歳0ヶ月~67歳11ヶ月 | 26% |
68歳0ヶ月~68歳11ヶ月 | 43% |
69歳0ヶ月~69歳11ヶ月 | 64% |
70歳0ヶ月~ | 88% |
繰下げ受給利用者の割合
老齢基礎年金の繰下げ受給を利用している人の割合は、次のとおりです。
2012年 | 1.5% |
---|---|
2013年 | 1.4% |
2014年 | 1.3% |
2015年 | 1.5% |
2016年 | 1.4% |
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